夜の11時を過ぎた頃だった。
家族が寝静まって、やっと一人になれたキッチンで、私はスマホの画面をじっと見つめていた。
冷蔵庫の「ブーン」という音だけが、部屋に響いている。
銀行アプリの残高を、もう一度確認した。
減ってる。
また、減ってる。
外食は控えた。服も買っていない。子どもの習い事も最低限にした。それなのに、毎月じわじわと、数字は小さくなっていく。
「このまま、いったいどうなるんやろ」
誰もいない台所でひとりごとを言ったとき、自分の声が少し震えていることに気づいた。
「考えない」が、一番の逃げ場やった。
40代になるまで、私はずっとお金のことを「怖いもの」として避けてきた。
株。投資信託。NISA。
名前は知ってる。でも「よくわからないもの」「怖いもの」「失敗したら取り返しのつかないもの」として、ずっと心の奥にしまい込んできた。
就職氷河期に社会に出て、やっとつかんだ仕事を必死に守ってきた。結婚して、子どもを産んで、家まで買った。毎日、ぎりぎりのところで走り続けてきた。
お金のことを深く考える余裕なんて、どこにもなかった。
……いや、正直に言えば。
考えたくなかった、んやと思う。
知ってしまったら、もっと怖くなりそうで。現実を直視したら、立っていられなくなりそうで。
「考えない」が、私の唯一の逃げ場だった。
3年間、「いつかやろう」と思い続けて、何も変わらなかった。
40歳を過ぎた頃、「老後2,000万円問題」がニュースになった。
見た瞬間、胸が締め付けられた。息が浅くなった。
「うちは、全然ない。2,000万円なんて、どう計算しても無理じゃい」
ネットで「老後 資金 貯め方」と検索して、NISAの記事を開いて、5分で閉じた。難しい言葉が並んでいて、頭に入ってこない。目がすべっていく。
また今度にしよう、と思った。
その「また今度」が、3年続いた。
気づけば45歳になっていた。通帳の残高は、あの頃と変わっていない。いや、むしろ減っている。住宅ローンは残り25年。親の物忘れが最近ひどくなってきた。子どもの高校受験も、すぐそこまで来ている。
何も変えなかった3年間が、そこにあった。
布団の中で天井を見つめながら、思った。
「私の人生、何やったんやろ」
ある夜、「怖い」と認めることから始めてみた。
きっかけは、本当に小さなことだった。
自分の信じている人がNISAを勧めていた。20年以上NISAをしている人。SNSで登録者200万人以上の人。アメリカ株式市場を200年以上分析して、15年以上保有していたら必ずプラスになっていたこと。フランスのピケティさんが、R>g(資本収益率>経済成長率)を打ち出し、その言っていることがわかったこと。藁にもすがる思いで、投資の情報を集めていました。
育児と仕事に追われていそうで、疲れていそうで。それでも「怖かったけど、やってみた」と書いていた。
なぜか、その言葉が刺さった。
怖いのは、みんな同じなんだ。
それでも動いている人がいる。
私はその夜、「怖い」と声に出してみた。誰もいないキッチンで、冷蔵庫に向かって。
「私、お金のことが怖い。でも、このままも怖い」
不思議なことに、認めた瞬間、少し楽になった。
怖いことを「怖くない」と思い込もうとするより、「怖い、でもやる」の方が、ずっとシンプルだった。
小さな一歩。本当に、小さな一歩だけ。
それから私は、毎日5分だけ調べることにした。
難しい記事は読まない。わかる言葉だけ拾う。完璧に理解しようとしない。
積み立てNISAの仕組みをやっと理解したのは、始めて3週間後だった。遅すぎると笑われそうだけど、私には大発見だった。
「毎月決めた額を、自動で買ってくれるんや。私にもできるかも」
その「できるかも」が、ずっと欲しかった感覚だった。
劇的な変化はまだない。老後の不安が消えたわけでも、お金の問題が解決したわけでもない。ただ、夜中に台所でひとりごとを言う回数が、少しだけ減った気がする。
「考えないフリ」をやめた。ただ、それだけ。
でも今は、それで十分だと思っている。
もし、もっと深くお金のマインドを学びたいと思ったなら、私が一番響いた本を紹介しておきます。
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最後に、これだけは伝えたい。
同じように「怖くて目を背けてきた」あなたへ。
遅くない。マジで、遅くない。
45歳から積み立てを始めても、20年後には確実に違う景色がある。私たち氷河期世代は、誰も教えてくれなかった。学校でも、会社でも、お金の話はタブーだった。知らなかっただけ、なんや。
だから今日知ればいい。今日、一歩だけ動けばいい。
怖くていい。震えながらでいい。
でも「考えないフリ」だけは、もうやめよう。
あなたの人生は、まだここから変えられる。気高く明るくいきましょう。
私は、NISAや特定口座等の含み益のみで自宅のローンの心配がなくなるほど、変わりました。
金銭的な余裕ができると、仕事にも余裕が出てきます。
どうしても私を貶めたい上司や、いつも嫌味を言ってくる同僚、信頼できる同僚からは「この職場は人間関係が腐っとる」と直球で言われるような職場で、イライラしたとしても。
「いつでもやめられる」その安心感が変え難い安心感に繋がります。
いざとなったら独立してフリーランスで働くのもいいし。
アルバイトで食い繋いでもいいし。
職業訓練センターで技術を学んで、どこかに就職するのもいいし。
実家暮らしで家賃気にせずミニマム生活してもいいし。
なんとでもなる!
本当にその安心感がなければ、自分の精神は崩壊していたと思います。
その基礎となったのはやはり経済的資本。
少しずつでも増える感覚が、何よりの精神安定剤。
だから、
今苦しんでいるあなたにも、
なんとか救ってあげたいけれど、
自分の手はそこには届かない。
でも、方法なら伝えられる。
少しずつでも大丈夫。
みんなで自由に近づいていこう。
本当に応援しています。
まるで自分を応援するように。

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